高野 真里江
1988年東京生まれ。幼い頃から刺繍に親しみ、中学の部活動で日本刺繍をはじめる。
その後、女子美術大学短期大学部へ入学。専攻科刺繍専攻卒業。
2013年よりさがみ工芸会会員。
2014年より日本手芸普及協会の刺しゅう講座の受講を開始。刺しゅう師範を取得。
http://www.instagram.com/kurumiworks/
Q1 刺しゅうを始めたきっかけ、始めた頃の刺しゅうに関する思い出について
刺繍をはじめたきっかけは、幼稚園の頃、母が子供用の白い木綿のハンカチにワンポイントのお花と名前を刺繍してくれたことです。それを隣で見ながら真似してみたのが最初でした。
母よると、それ以前の私は、厚紙に大きな針で恐竜をクロスステッチするスウェーデンの知育玩具が大のお気に入りだったそうで、このとき真似してやってみようと思ったのも自然なことだったのだと思います。
その後、小学1年生から近所の手芸教室に通うようになり、その頃も母のフリーハンドの刺繍を見て魔法みたいだと思ったこと、自分もできるようになりたいと思ったことをよく覚えています。
Q2 現在行っている刺しゅう活動
現在は、日本手芸普及協会が主催する刺繍通信講座の手元の動画への出演、刺繍関係のメーカー勤務、制作活動を並行して行なっています。
昨年頃から、自分の作品制作だけではなく、刺繍をどういう形で次の世代に伝えていきたいのか考えるようになりました。
刺繍をしたい人が不自由なく楽しめるようにすることが大きな目標です。
例えば本を見てわからないときに質問できるような場所をつくること、どんな地域の人も自分の目で見て材料や道具を選べる環境をつくることができたら嬉しいです。
制作活動では、数年に一度、所属する団体で展示の機会をいただいています。
会場では種目問わず工芸の大先輩である先生方から講評をいただけて、私にとっては貴重な学びの場になっています。
Q3 今ふりかえって思う刺しゅうの基礎を学んでよかった、刺しゅうを学ぶまたは刺しゅうを作る醍醐味について
学生時代から刺繍に取り組んでいましたが、洋裁や欧米の刺繍について触れる機会はそれほど多くありませんでした。せっかくなら基礎からきちんと教わりたいと考えてヴォーグ学園の資格取得講座に通うことにしました。
実はハーダンガーワークやブラックワークをはじめ、多くの技法を課題ではじめて経験しました。
新しい技法を学んで表現の幅が広がったことはもちろんですが、刺繍に携わる方々のお話を聞く機会が増え、刺繍に関して自分にできることを考えるきっかけを得たことが特に大きかったです。
仕事をしながら課題を提出することは正直かなり大変でしたが、受講して本当によかったと思っています。
刺繍の魅力は作品そのものよりも創作する過程にあると思います。
刺繍を通して、自分自身と向き合うこと、仲間とともに達成感を味わうこと、集中して深く追究することができます。
例えばスポーツや楽器などを通して同じような経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
刺繍は自宅でひとりでも、みんなで集まっても、道具も最小限のものから始めることができます。何かひとつ、生涯を通じて取り組む分野があることは素敵なことだと思います。
そのような選択肢の一つに刺繍も入れてもらえたら嬉しいです。