第18回キルト日本展 審査会レポート
圧巻の実物審査
2025年10月27日、ヴォーグビル2F・クラフティングアートギャラリーにて「第18回キルト日本展」2次審査を行い、来年(2026年)4月に上野・東京都美術館にて展示される作品を決定しました。
審査会では、ヴォーグビル2階フロア全体~教室、ギャラリーから廊下まで(全長60m!)をフル活用し、120㎝×120cm以上という審査基準を満たした大きなキルト作品を所せましと展示しました。
審査会ではありましたが、思いのこもった力作の数々から発せられる熱量も感じられる圧巻の様相で、非公開であることが残念に感じられるほどでした。
日本を代表するキルトコンクール
「キルト日本展」は(公財)日本手芸普及協会が主催する国際キルトコンクールです。今から36年前となる1990年に第1回を開催、1998年の第5回からは海外作品も募り、公益法人では唯一の文部科学省認定の国際コンクールとなりました。
2003年の第7回より上野・東京都美術館での展示が皮切りとなり、その後入賞作品の一部は数年をかけて、国内イベントはもちろんアメリカをはじめとする各国の美術館で巡回展示が行われることになります。
そして今回、第18回となる本展の展示作品が、5名の審査員による厳しい審査の末に決定したということです。
募集ジャンルはトラディショナル部門、コンテンポラリー部門、そして2021年の第16回より新設されたミニチュアキルト部門の3部門となっており、今回は、国内はもちろん中国、台湾、韓国、スペイン、フランス、イタリア、スイス、アメリカの計8か国から383点の応募作品が集まりました。
写真選考となる1次審査を通過した172点が実物審査となる2次審査に進み、入賞作品115点が展示作品として選ばれた事実から、このコンクールのレベルを知ることができると思います。
審査員も豪華
本展の審査を担当していただいた皆様も、日本を代表するキルトコンクールにふさわしい顔ぶれが揃いました。
各分野でご活躍の皆様ですので、審美的視点、技術的視点などそれぞれの確固たる視点をもって厳しく採点してくださいました。
岡本洋子審査員 キルト作家 指導者としても多くの後身をを育てている 公益財団穂人日本手芸普及協会副会長
須藤玲子審査員 世界的に活躍するテキスタイルデザイナー
小倉文子審査員 女子美術大学服飾科教授を経て2019年より同大学学長
小関鈴子審査員 キルト作家 1980年代から活躍する日本を代表するキルト作家のひとり
寺島暢子審査員 キルトジャパン編集長
審査の合間のひととき白熱の議論の末に
審査は1点1点吟味して、全作品を全審査員が採点することろからスタートしました。
応募作品のクオリティーは回を重ねるごとに高くなり、毎回審査員の頭を悩ませてきました。今回の審査は正にそのピークと感じるほど難しいものとなり、集計後に行われた上位入賞作品を決するための討議は、審査員による白熱した議論が長時間にわたって繰り広げられました。
白熱した議論の末に入賞作品がきまりました
この後、入賞作品の中からアメリカのキルト雑誌社による選考も行われ、今年中にはすべての賞が決定される予定です。
そんな難関を突破した作品群が来年4月に展示を迎えます。上野公園は(恐らく)桜も見頃と思います。皆さまぜひ足をお運びになり、この素晴らしいキルトの世界を体感してください!
■第18回 キルト日本展入賞作品展
2026年4月10日~16日
東京上野 東京都美術館にて開催
入場無料